2014年11月23日日曜日

2014年11月23-24日 七面山1982m-霊山で宿坊修行、山梨から静岡へ【身延】


わーーーーーっ!!
またしても更新が大幅に遅れております....。
もう世間は大晦日なのに、わたしの年内に行ったやまのぼりレポはあと5件溜まっています。
2014年の事は2014年に終わらせたい...けどもうダメだ、間に合わない!
とりあえず順番通りにポクポク書いて行きますね。

さて、今回は宿坊で修行がメインとなる、いつもとは違うやまのぼり。
霊山に登ることそのものが修行の道なのですが、もう一歩踏み込んで山頂付近にある身延山久遠寺に属する敬慎院の宿坊に泊まり、夕と朝に勤行をするという修行登山。
いままで体験した事のないことばかりで興味津々、ちょっとしたハプニングもありで、あっという間の2日間でしたー。

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七面山の登山口となる羽衣までは、甲府からJR身延線に乗り換えて下部温泉駅まで。
甲府駅へは何度か降り立っていますが、この駅のはじっこに身延線があったなんて...はじめて知りました。笑

行き方は他にも身延駅から登山口となる角瀬までのバスが出ているんですが...これがなんとも時間が悪いのです。
最初が7:00発のバスで都内から当日7時までに身延駅に着くのは不可能。
その次が11:15発で遅すぎるし〜。
よって、今回は身延駅よりも七面山に近い下部温泉からタクシーで行く事にしたのです。

レトロな雰囲気の下部温泉駅。
ここからタクシーで羽衣駅を目指します。
(下部温泉---羽衣 約30分/6000円)

羽衣でおりたら登山口の鳥居を通過して、まずは橋を渡って白糸の滝へ。
七面山の女人禁制を解いたお萬の方の像があります。

彼女はここで7日間にわたり水行をし、身体を清めたそうです。
今でもここには着替えをする場所があり(お萬の方の下にある小屋)、水行をする事ができます。
大雨が降ったあとなどは水量が増しに増して、それはそれは大変な修行に...。

隊長が滝壷まで視察へ。

真下から見ると、結構な迫力。
実際にこの滝に打たれるのかと思うと...7日間堪え抜いたお萬の方の精神力に脱帽。
「登拝する前に清めていったら〜」と言われましたが、それをしたらわたしはここで息絶えますので謹んで遠慮させていただきました。

さて、七面山敬慎院を目指していざ!!
“現在地”となっている所から、神力坊、肝心坊、中適坊、晴雲坊、和光門を経て敬慎院へ。
1丁目から50丁目までの標高差1200mを登り詰める修行の参道です。

総本山である七面山には、信仰の厚い方々の参詣が絶える事がありません。
今まで修験道と呼ばれる登山道をいくつか登った事はあるけれど、こんな光景を目にする事はなかった。

登って行く人もいれば、もちろん下りてくる方も。
わたし達が宿坊に泊まる前日に、信者の方々が200名ほど泊まっていたそうで。
法華経を唱え、太鼓を叩きながら列をなして下りてくる白装束に身を包んだ信者の方々に圧倒されました。

紅葉はもう見れないかなーと思っていたけれど、下の方はまだまだ大丈夫。
代わり映えのしない参道にテンションが上がらないので、紅葉だけが頼りです。

今日のトレイルミックス。
お寺だし、修行だし...ってことで、柿の種・干し梅・甘栗・わさび豆をミックスして和でまとめてみました。

もう大失敗というか...今日のやまのぼり詰んだな...って思うくらいひどい仕上がりに。
甘栗の湿気で、干し梅は潤ってくるし、柿の種とわさび豆はふにゃふにゃになってくっつき合ってるし。
湿気のある物を乾物と一緒になぜnalgeneに入れたのか。
よく考えればしめっしめになることくらいわかるだろうに.......

そんなこんなで26丁目。
敬慎院まで半分は登ったという事ですね。
ここで適当な場所を見繕ってお昼ごはんタイムにします。

落ち葉の上に座り込み、富士山を眺めながら短めのお昼ごはんタイム。
わたしのごはんは大きな豆大福2つです。
.......ここで小さなモンスターがわたしについて来ているとはつゆ知らず、幸せいっぱいに豆大福の粉を口の周りにつけてもぐもぐしていました。

モンスター!!!
いやいや、これは可愛いほうです...

38丁目あたりから、ちらほらと霜や雪の残りが出て来ました。
久々の雪の登場に気分が高まります!

そして40丁目を越えたあたりから、やっと樹林がまばらになって空が見えてくる。
ほんとにここまでずーーーーーっと代わり映えのない参道なので、空が見えて本当に嬉しくなりました。

そして見えてくる和光門。
作り替えられたばかりで、使われている木材も新しく綺麗です。
いままで登ってきた参道も厳かな雰囲気が漂っていましたが、和光門をくぐると空気がより張りつめたように感じられます。

門をくぐり、少し行くと敬慎院の広い敷地に到着です。

標高1700mのこの場所は身延町の飛び地となっています。
本当にここは山の上?と不思議に感じてしまうほど、広くて、そして立派な造りの敬慎院がどっしりと佇んでいます。

敬慎院の宿坊の近くまで行くと、わたし達が到着するのがわかっていたかのようなタイミングで扉が開き「おつかれさまでした。どうぞ荷物をおろしてゆっくりと休んで暖まって下さい。」とお寺の方々が迎えてくれました。

大部屋に通していただき、ザックをおろしてまずいトレイルミックスを嫌々頬張りながら小休憩。
部屋にはストーブが置かれていてとても暖かかった〜
汗で濡れた髪をまとめて結わえようと、うなじに手を当てた瞬間ぷくっと違和感が...
何かがうなじにくっついている感じ...小枝でも絡まってるのか?と取ろうと思って引っ張っても取れない。
痛はないので、無理矢理掴んで思いっきり引っ張ると“ブツッ!”っと取れた〜!
そして取れて床に落ちたモノを見てみると...
もそもそと歩いてる!!!

まっマダニ!!!
気付いた瞬間、なんともいえぬ気持ちになるんだね。
『へっ?』
なんだこれ?とぽかーんとして
『え!ダニ?ダニ?!え?これくっついてたの?!』
と、非常に悲しくなりゾワゾワして全体的にかゆかゆになる。
5mmくらいと相当大きく、見た時に蜘蛛だとばっかり思っていました。

お寺の方にマダニの事を話してみると
「いやぁ〜七面山では蛭の事は良く聞くけれど、ダニは聞いた事がないですね。」と。
.....せめて事例があって欲しかったな。笑

テンションは下がっておりますが、とりあえず七面山の山頂を目指して空身でGO!
敬慎院を出て、随神門への階段を登って行きます。

随神門からは富士山が見えます。
門が額縁のようになって見えて、とても素敵でついつい門のうしろから富士山を眺めてしまいます。

春分の日と秋分の日は、ここからダイヤモンド富士が見ます。
そしてそのご来光の光が随神門を通り、敬神院の本堂にある七面大明神に射し込むようになっています。
まっすぐ伸びる光を辿って行くと、弁財天社、元伊勢と各地の聖地をまっすぐ通り出雲大社まで伸びています。
これをレイラインと呼ぶそうです。
700年以上前から各地の聖地を通るよう設計されて建てられている事に驚き、自然現象が神聖な物だけれど身近な物として人々の生活の中に溶け込んでいたんだなと感じました。

随神門をくぐると広場があり、富士山や身延、奥秩父の山々を一望する事ができます。

敬慎院から七面山の山頂までは往復で1時間ほど。


もにょもにょとサルオガセが風になびいている。
ガスガスの森の中のサルオガセは幽玄なんでしょうね。もしくはホラー映画そのもの。
寄生しているように見えますが、サルオガセは空気中の水分を吸収して単独で生きています。

雪が残る道をゆるゆると歩いて行くと...

大きく崩壊した荒々しいナナイタガレがあります。
斜面に雪があるのがまた雄々しく見えてとてもかっこいい。
ついつい下を覗き込みたくて前へ前へ進んでしまうけど、スパっと切れ落ちているので気をつけて〜。
常にコロコロ、カラカラと斜面で小さな崩壊を繰り返しているので油断禁物ですよ。

写真におさまりきらないのでパノラマで。
それでも写りきらない〜!

誰かさんのトレースを辿りながら、ちょっとした登りを頑張れば

展望のない山頂に到着です。
ちょうど良く覗き穴(?)があるのでどうぞ覗いてみて下さい。
特に何もないですけどね。

明日はここから八紘嶺を経由して梅ヶ島温泉へ下ります。
今日は下見だけして、そのままピストンで敬慎院へと戻ります〜

戻って敬慎院の裏にある七面山の守護神の龍神である七面大明神が住んでいると言われている、一ノ池へ。
半分ほど凍りついていてより神秘的になっていました。

かなり分厚く凍っています。
1月にもなれば全体的に凍っちゃうのかな?

少し歩くと二ノ池もあります。
こちらはかなり小さめで、池というよりも水たまりといった装い。

隊長とお散歩がてら奥の院までてくてく歩きながら、
ち『まさかのダニって...あぁ...ダニ気持ち悪い〜わぁーぞわぞわする〜!』
ってうなじを再度チェックすると、ポチってまた違和感っ!!

ち『ヒッ!!たっ隊長〜(;ω;)またうなじにいます...ダニがまたいます...』
(-----隊長がうなじチェック中-----)
隊「あ〜...これは...頭がもう皮膚の中にしっかり入り込んでいるなぁ〜...無理に引っ張って取ると頭が残って感染症になったりするから無理に取らない方がいいかもね。」
ち『え?!このまま?!いやだ〜』
引っ張ってみたり、ライターであぶってみたりしたけど全く離れる気配はなく。
気持ち悪いけどこのまま下山するまで我慢しようと決め、とりあえず奥の院へ。

奥の院の方が外にいたので、ダニがいた情報を話すと
奥「ちょっと見せてくれますか?」と。
元看護士さんだそうで、上手にダニを取ってくれ消毒もしっかりしてくれました。
取れたダニ(死亡)は念のため病院に持って行くため、ラップにくるんでもらいました。
本当にありがとうございました!!

ダニが取れて清々しい気持ちで夕暮れの富士山を眺める。

宿坊に戻って夕食です。
もちろんお肉、お魚はなしのとても質素な精進料理。
少ないかもな〜って思ったけれど、ひとつひとつしっかり味わってゆっくり食べるので思った以上に満足感がありました。
いつも必要以上にモリモリ食べ過ぎなんだな...

このあとみっちり1時間、お勤めがあります。
読経はお坊さん達の声がお堂に響き渡ってとても迫力があり、荘厳な空気に圧倒されてあっという間に終わってしまいました。
読経の途中にお勤めの参加者の祈願をしていただけるのですが、自分の名前を呼ばれたときはなんだかとても嬉しかったです。
1時間の正座で足がしびれる事はなかったのですが、焼香をする時にどうやるんだっけ?!と自分の番が回ってくるまでみんなの動きをチェックしてひとりワタワタとあせってしまいました。笑
お勤めのあとはお坊さんから法話を聞き、日頃の自分を見つめなおす良い時間となりました。

敬慎院の宿坊の布団は、敷き布団も掛け布団も長いロールマット状です。
10人分の布団が繋がっている感じを想像して下さい。

掛け布団が繋がっているので、隣の人との間にできる隙間が寒い。笑
そして布団の端っこに寝てしまった方は、みんなに引っ張られて掛け布団がズレてなくなる事があるので寝床の場所取りには注意が必要です。
1番端に寝ていた隊長は、隣に寝ていたわたしに掛け布団を奪われ寒かったそうです。笑
わたしの逆隣に寝ていたサワさんはわたしに足をゲシゲシ蹴られていたそうな...どうやら寝相が悪いようで...ごめんなさい〜!

寝る直前の気温は室内で3度ほど。
寒いのでフリースを着込んで寝る事にします〜

黄色いのは湯たんぽ。
ひとりひとり用意して下さっていて本当に感謝です。
家の湯たんぽ1つにお湯を入れるのも面倒だと思ってしまうのに、宿泊者全員分の湯たんぽを用意するのはとても大変だと思います。
心遣いがとても嬉しかったです。
おかげでとても温かく、ぬくぬくしながら眠れました。
(湯たんぽはお腹に乗せる派です)

起床時間に起き、みんなでお布団をロール状に巻いてまるめてお片づけ。
朝食を食べた後に朝のお勤めがあります。
朝のお勤めは自由参加とのことで、先を急ぐわたし達はサボらせていただくことに。

日の出前に宿坊を出発です。
本堂から読経が聴こえてくる。他のみなさんは朝のお勤めの真っ最中です。

随神門からご来光待ち。
明日の天気は崩れるとの予報はどうやらあたりのよう。
富士山に笠雲がしっかりかぶっています。

もうすぐご来光〜!!
って瞬間に龍神の七面大明神(イルカ風)が登場です。笑
七面大明神は右から左へゆっくりと飛び去り.....

無事にご来光を拝む事ができました。
毎回思うけど、太陽のパワーってすごいよねぇ...出て来た瞬間に暖かくなってホッとする。

いつまでも眺めていたいけど。
明るくなったところで、八紘嶺を目指して進みますか。

七面山山頂から先へ。
ふかふかな雪が残る登山道を行きます。

粉砂糖デコレーションをされた三ノ池(多分)

なぜシェルのフードまでしっかり被っているのかというとダニが怖いからです。笑
薮漕ぎをするときのように全身しっかり防御します。
特に寒くもないし、風もないのにフードをしっかり被って歩く3人はちょっと異様。

途中にある希望峰で小休憩。

富士山方面は木々が生い茂っていて展望はありませんが、西側は南アルプスが一望できます。
前日の七面山の登りでは一切展望がなかったのでこの景色はとっても嬉しい♡

足元には雪や氷の粒と、生き生きとした苔が広がります。

このなんだか苔っとして荒れた感じ...南アルプスを彷彿とさせます。
ところどころテープがはってあるけれど、少しわかりにくい箇所もあったり。
基本は尾根を辿って行けば大丈夫です。

最初はプーさんに見えたけれど、寝そべっている雌ライオンに落ち着いた倒木。

八紘嶺まではアップダウンがちょこちょこ、ちょこちょこあってジワジワ体力を削られる〜!
もう嫌だ...疲れた...って心がくじけそうになってきます。
笹が多くなってくると、もうすぐ山頂です。

八紘嶺は展望はなし。
梅ヶ島温泉や阿部峠に延びるルートと、大谷嶺に延びる馬蹄形ルートがあります。

汗がたっぷり出ているけどダニが怖くて相変わらずシェルを脱がないわたしたち。笑
谷間に見える町が、下山する梅ヶ島温泉。
ここから標高差約1000mの下りです。

途中、七面山の全容と富士山を見れるスポットがあります。
これもいつも思う事だけど、歩いてきた道を振り返るとよくあんなに向こうから歩いてきたものだなーって不思議に思ってしまう。
遠く見えるのに、歩けば3時間ほどで行けてしまうから驚き。

一度舗装路へでます。
ここを左へ登って行くと阿部峠へ。
右の樹林帯へ再び入って下りて行けば、梅ヶ島温泉です。
ここからの下りが45分程度なんだけどひたすら長く感じるので、気を抜いて転ばないようにように注意です。
標高差1000mを一気に下りてきた膝は思った以上にぷるぷるしています。笑
気を抜いたわたしは、坂道でつまづき前方に転び正座スタイルで着地するという強制参拝を強いられました。
多分、唐揚げが食べたいだの酒が飲みたいだの煩悩でさっそく頭がいっぱいだったからだと思います。

あぁ...やっと梅ヶ島温泉だ!
ここは武田信玄の隠し湯として使われていたそうですよ。

ゆっくり入りたい所ですが、バスが来るまで30分ほどしかないのでスピーディに温泉に入ります。

ドライヤーも間に合わず、濡れた髪がちょっと寒いわたしとサワさん。
この時ばかりは隊長の坊主頭が羨ましかったです。笑
ここから静岡ジャストラインに乗って約2時間かけて静岡駅まで戻ります。

さぁさぁ!!!!!
待ちに待った山旅の締めの宴をはじめますよ〜♡♡♡

隊長とサワさんはあまりお酒を飲まないので、1番年下のわたしだけビールを煽るという暴挙です。
山から下りてくると揚げ物が食べたくなるのはわたしだけではないはず。
駿河湾で取れた桜えびの爆弾かきあげと...

大好物の唐揚げをもりもり食べて、脂を満タンチャージです!
アルコールも進むよ〜!
宿坊で精進料理を食べたときは、人間こういう食事が1番体にも心にもいいから少し節制しよう...なーんて思っていたのに、24時間もたたないうちにがっつり肉を食す。
わたしなんてそんなものです。笑

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宿坊でお勤めを体験し法話を聞いた事は、わたしの中でまたひとつ新しい宝物になりました。
修験道をいままで修行の道と考えて登った事はなかったのですが、ひたすらの長い登りはとても辛く必死になることで頭が空っぽになり、その中で自問自答を繰り返し自分と対話する良い機会なんだなと感じました。

煩悩だらけのわたしですが、今日は大晦日。
108の鐘の音とともに1つでも多く煩悩がなくなりますように。笑

わたしに関わってくれた大切な山のみなさま...本当にお世話になりました。
みなさまが来年も元気に楽しく安全に登山されることを心から願います。
来年も素敵な方々と素敵な出会いをし、宝物をたくさん見つけられますように。
それでは、よいお年を〜!!!

※ちなみにダニ問題は下山した翌日、念のため皮膚科を受診し事なきを得ました

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