2015年12月20日日曜日

2015年7月28~31.8/1 裏銀座縦走+雲ノ平.高天原4泊5日(4日目後編)【北アルプス】



4日目の後半です。

名残惜しくも槍ヶ岳をあとにして、今日の宿泊地南岳小屋を目指します。

ここから先はいままで歩いてきた道とはまるで雰囲気が違う。
槍穂高らしい岩稜がゴツゴツと荒っぽい。
植物も少なく全体的に灰色で、それがより険しさを増して見せて“気安く先へ進ませないぞ”っていう山の警告のよう。
だけど冒険心と好奇心がツンツンつっつかれる。

大喰岳までの道は、一度グッと下ってからの登り返しです。
危険箇所も無く比較的歩きやすかったけど、ザレていて下りは滑りやすかった。
そして風が強く吹くと、小石と砂がザっと舞って目が痛いし口も耳の中もじゃりじゃり。笑

飛騨乗越

大喰岳への登りのはじまり。
見た通りキツさはなく、じわじわゆるゆる。
徐々に足元の地の色が変わっていくのが歩いていて面白かった。

実際に歩いてみるとこんな感じ。
大きめの岩がごろっとしたガレた足元で、カタカタと浮き石もあります。

ヒュッテ大槍と、小さく殺生ヒュッテ。
こうやって見ると殺生ヒュッテから槍ヶ岳までって結構距離があるんだね。
ヒュッテ大槍はテン場の環境が広くフラットで良さそうに見える!
かけまわりたい!!

向こうに並ぶ表銀座の山たちと、それに負けない大きくどっしりかまえた常念岳。

西鎌尾根と槍ヶ岳周辺は人がたくさんいたけれど、槍ヶ岳から大喰岳方面に歩く人はほとんどいなくて、再び静かな山あるき。
ほとんどの人が槍沢コースで上高地へと下りて行くみたい。

初日のブナ立尾根から、息を切らすようなこともなく快適に歩けていることに感謝だなぁ。
ゆっくりと周りに目を配らせながら楽しめてる。
4日も山を歩ける体力が自分にあることにびっくりだ。

振り返ると、もうあんなに槍ヶ岳が小さくなっちゃった。
それにしても槍ヶ岳山荘の大きさといったら.....1個のピークをまるまる小屋で埋め尽くしてる。
こんな狭い場所に650人収容可能な小屋があるって本当にすごい。

pm12:05

大喰岳〜!
うしろにはドドーンとやりがた.........け...?

どどーん!!!
よかったよかった、出てきてくれた〜♪

大喰岳/3101m
“おおばみだけ”と読みます。



隙間にぎっしりとイワツメクサ。

まだ厚く雪が残る場所もありました。
雪の下でこんこんと融け流れる水の音が良く聞こえる。
冷たくて気持ち良さそうだなぁ。

斜面の雪から歩く稜線に目を戻すと、雷鳥が登山道のまんなかでキョトキョトしてる。
また会えたねぇ。

近くの葉っぱをついばみながら、頻繁にうしろを振り返っては鳴いていました。
ずーっと道のまんなかから動かずにどうしたのかなぁ...と思っていたら...

雛が岩陰からヒョコっと出てきました!!
コロンっとしていてとっても可愛いなぁ。
この雛はかなりマイペースな性格のようで、ママ雷鳥が何度も何度もこっちにきなさいって呼びかけているのに、目の前にある花をついばんだり逆の方向に走ったりしてました。笑

雷鳥とお別れして先へ進みます。
途中いくつか梯子がありました。
まわりが切れ落ちているわけではないので、高度感もなく安心して通過できます。
登りやすくて助かります〜


pm13:00

中岳/3084m

中岳と南岳の間の鞍部に下って行くけど、もやっとガスが上がってきて前が見えない〜。

中岳の斜面に残る雪渓。
水の乏しい岩稜帯ではとっても貴重な水源です。

こんこんと融けだす冷たい雪融け水。
ここはクマもこないから飲んでも安心だよって風の噂で聞いてた。
南岳小屋にも水は無いから、今日と明日の分として2.5リットル汲みました。
2.5kg重たくなりました.....うぅぅ。

せっかくだから冷たい水で顔を洗ってひとやすみ。
目にとまった尖った岩に、重たいザックを背負ったまま座ってみる。

パキッ
................ん?

わたしのお尻...のシッポの骨が、高い音でパキって言った。
もしかして折れた?笑

確認しようとよっこいせって立ち上がる瞬間、ツキーン!と電流が流れるような痛み。
でも、歩いてみると痛くはない。
打撲かなぁ...パキって言ったしヒビかなぁ....ヒビだよねぇ。
とりあえずどうすることもできないので、様子をみながら歩くしかない。
まさか縦走4日目で尾てい骨を負傷するとは...不覚!!

登るのも下るのも、歩いている分には支障なし。
でもなんだか気になってしかたなくて、歩きながら尾てい骨をナデナデ(怪しい)
情けない気持ちでいっぱいです。笑

中岳から南岳は案外長くて、道もゴロゴロ。
カタカタゴトゴトと少し浮き石も多く、足元に注意しないと足首をグリッとしてしまいそう。
ここでコケて尾てい骨をぶつけたらきっとわたしは再起不能。笑

先に見える緑のピークが南岳かと思ったら違かった。
あそこは天狗原への分岐のところで、最終日(明日)にわたしはここから槍沢へ下りて上高地へと帰る予定。
南岳はあそこを下ってから登り返して、まだもう少し先。

ガラゴロがらごろ。
恐竜の背中のような場所。

少ないながらも岩の隙間で咲くチングルマに癒される。

南岳のピークの手前は岩場のトラバースも多く、穂高に近付いてきたなぁと感じる。
鎖があるわけではないので高度感のある場所は少しドキドキ。
稜線をこっち側あっち側にとまたいで行ったりきたり。

恐竜みたいな岩場もペンキマークを頼りにガシガシ登って行く。
登りきったと思ったら、反対側は激下りだったり。
ワイルドでとっても楽しくてイワイワだらけでも飽きないなぁ〜!

やっと正面にとらえた南岳のピーク。
南岳が近付いてくると足元の岩は小さな石が敷き詰められたような道に変わり、見える山の表情も穏やかになってくる。

下には明日下山する上高地を流れる梓川が見える。
大きく異彩を放っているのは屏風岩。
クライマーさんたちがこぞって登るバリエーションルート。
この日はここで2人が自力下山ができずに遭難したそうです。1人は斜面に生える木の枝に跨がって1日を凌いだみたい。
とにかく無事でよかったね〜

南岳までは、ぐるーっと歩けばもうすぐだ。

pm14:20 

南岳/3033m

今日最後のピーク、南岳とうちゃーく!
槍ヶ岳からどのピークも3000mを越えている。
すごい高い場所を歩いてきたんだなぁ。
3033mと言えば、南アルプスの仙丈ヶ岳を思い出すなぁ...わたしのはじまりの山なのですよ。

すぐ後に梓川が見えているから、この旅が終わりに近付いているのを否が応でも思い出させられてちょっとせつない気持ちです。
いつも山を下りる時に感じるさみしさ症候群がすでに発症しそうな兆し。笑

pm14:35

南岳をちょっと下ると南岳小屋があります。
赤いお屋根のほっこりした雰囲気で、受付の前には1杯200円を支払って飲めるセルフドリンクバーがあります。
わたしのおすすめはカルピス!お湯で割って飲むとしあわせ味♡
大好きすぎて4杯ほどいただきました。
おやつが小袋に詰められた“行動食セット”なんてものもあったりして楽しい〜!

通された部屋はラッキーな事に今回も女性部屋でした!
お布団が5枚敷いてある小部屋で、最終的にはここに4人で。
とりあえずちょっと寝るかな...と横になる...

ぴぎゃーっ!!
あわゎゎゎゎ、尾てい骨に電流ビリビリ〜っ!!!
こりゃやっぱしヒビだな。
ポンコツなわたしのシッポめ......にくたらしい。

よっこらしょと寝返りを打つとぴぎゃー!
立ち上がろうとするとピギャー!!

これじゃゆっくり昼寝もできなそうなので、外にお散歩に出ることにしました。
歩いている分には全く問題なしで、かがんだり立ち上がったり負荷がピンポイントでかかるとピギャーってなるみたい。

せっかくだし大キレットを眺めながらビールを飲もうと、小屋で350ml缶を買いました。
大キレットとその先の北穂高岳はちょうどガスが停滞していてまだ見えず。
取れるまで待とうと写真の岩のはしっこに座ってビールをごくり。

すると後から、がさがさっと動物の気配。
振り向いたら雷鳥がひょこひょこ岩の上を歩いていました。
ハイマツのないこんなところにもいるんだねぇ。


みんなして大キレット出現待ち。笑
こんなにいい場所で、ビール片手にまったりとできるなんて幸せすぎる〜。

なかなか沸き上がる雲が取りきれず、うっすら姿を現したり隠れたり。
じらせ上手な大キレット。
北穂高岳はかなり見えてきたから、あともう少しなんだけどなぁ。

中々姿を見せてくれないキレット先輩。
そうこうしてるうちに、ビール缶を飲みきっちゃったよ〜
暗くなる前に夜ごはんも作って食べなきゃいけないから、キレット先輩は食後にまた覗きにこよう。

北穂高岳はペカーッと晴れたね!
あちらにいるみんなも大キレットを眺めたくてうずうずしてるはず。

小屋に引返してごはんの支度。
南岳小屋のテン場はフラットでいいところ。

テン泊していた4人組のお兄さんが、特製チンジャオロースを分け与えてくれました!
ミックスナッツを1袋どばーっと丸々入れているのをみた時はびっくりしたけれど、たっぷりナッツの食感がアクセントでとーっても美味しかったです。
ワインも赤と白と両方飲ませてもらって、贅沢な夜ごはんになりました〜♡

わたしのメインはかきたまワカメうどん〜
棒ラーメンの麺と、フリーズドライのたまごワカメスープとひがしまるのうどんスープで味付け。
夏でも冷える高山の夜ごはんはあったかいものにかぎるなぁ♪
マモルさんからもお裾分けしてもらったサバの味噌煮も食べて、もうお腹いっぱい〜!

さ、眠くなって動きたくなくなる前に明日のパッキングを済ませないと...。
それが終わったら夕暮れの穂高の鑑賞会といきましょか!

再び小屋の裏手をゆっくりと登って、大キレットの手前まで。
見上げると夕陽に染まる北穂高岳の勇姿を見つめるみんなのシルエット。
静かな空気と時間が流れる中で、それぞれが楽しそうにお喋りして笑ってる。


みんなの視線を集める北穂高岳。
山というより、まるで岩の要塞のよう。
はじめてこんなに近くで見た穂高の山......圧倒的な存在感に気圧されて、言葉が出てこなかった。
憧れの大キレットもこの位置からだとよく見える。
最後の最後、北穂高岳への登りがかなり手強そう。
わたしにもこの道を歩ける日がくるのかな、どうかな。笑

南岳で1番のお気に入りになった場所で、正面から眺めてみる。
(1つ上の写真で佇んでいるハイカーさんのところ)

はー
やっぱりすごい、すごいしか出てこない自分の言葉の少なさに悲しくなるけど、すごい。
一歩一歩自分の足で歩いて辿り着いた場所にこんな景色が広がってて。
もう心がいっぱい。
無意識にじわっと涙が滲むのは山の不思議なパワーのせい?
どうしてこんなに心が満たされるんだろうね。
だから山が大好きで、とても愛おしくていっつも恋しい。

1日を照らしてくれた太陽の出番も、雲を金色に縁取ってもうすぐ終わり。

振り返って南岳。
桃色に染まって優しい表情。

ミルキーに色に変わりゆく空に月が昇ってきた。
ネバーエンディングストーリーのファルコンが彼方から飛んできそうだなぁ。

この日の月はブルームーンで、ブルームーンに向かってお財布を振るとお金が増えるんだよ〜って近くにいた方が教えてくれたのでみんなして財布をフリフリ。笑

輝く雲を眺めながら、のんびりとお散歩。
軽装で夕暮れの山をお散歩できるのはお泊まり山だからこその贅沢。

遠く富士山。

谷から眠っていく北穂高岳。

数時間前に登った槍ヶ岳はこんなに小さくなった。
おやすみの準備完了だね。


今日はよく歩いたなぁ....。
普段生活でこんなに歩くなんて考えられないけど、山だとまだまだもっと歩けるし、歩きたいと思ってしまう。
楽しくてたのしくて仕方がなくてどうしようもない。笑
こんなにもどっぷり大好きなものがあるって幸せだなぁと思う。

この旅で、山で眠るのは今日が最後。
そう思うとなかなか寝れなくて、夜中にコソっと外に出てみた。
ブルームーンが眩しいくらいに輝いて、ライトがなくても歩けるほど。
月明かりに浮かぶ山並みと、風に流れて行く雲がとても美しくて、やっぱりじわっと涙がぽろり。
明日で旅が終わると思うとさみしいなぁ。

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夜の風に冷えてかじかむ手と足先を、布団の中でスリスリしながら。
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○コースタイム
双六小屋(4:30)---縦沢岳(5:20〜5:40)---硫黄乗越(6:10)---千丈乗越(8:25〜8:35)---槍ヶ岳山荘(9:40〜9:55)---槍ヶ岳(10:15〜10:35)---槍ヶ岳山荘(11:00〜11:35)---大喰岳(12:05)---中岳(13:00)---南岳(14:20)---南岳小屋(14:35)
※休憩など含め、計8時間5分



○アクセス
行き/七倉ダム・七倉山荘前(駐車場あり)
※毎日アルペン号で深夜発、朝着可。7月末は片道7200円でした。
※七倉からタクシーで高瀬ダムまで20分/約2200円
※ゲートが開くのは5:30または6:30(シーズンにより変わります)

帰り/上高地から高速バスにて新宿
※さわやか信州号が事前予約できれば新宿まで直通で帰れます。6200円。

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4 件のコメント:

  1. 楽しみに待っていました。北穂が岩の要塞のようとはいい表現ですね。30年前、西穂から槍まで行ったときシルクロードの山道のように感じた印象が思い出されます。槍から穂高へも歩いてみたくなりました。
    写真がきれいですね。   タニモ

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    返信
    1. タニモさん
      お待たせしました^^
      はじめて目の前にした穂高は本当に大きくて先を阻む要塞のようでした!
      西穂から槍までなんてわたしには想像もつかないくらいの険しい道なんでしょうね...
      写真はポンコツなコンデジなので、そう言っていただけると嬉しいです♪
      山の景色が素晴らしいのでなんでも絵になりますね!

      削除
  2. ブログ更新連絡をいただき自宅に帰り見るつもりが忘年会で飲みすぎて、昨晩と今日の昼休み見ました。そして今日も見ています。相変わらず詳しいレポートと上手な写真で楽しいいね。
    バーチャルトレッキングができます。ほんとに楽しい。
    尾てい骨は大丈夫だったの?山から帰って病院に行ったのかね。それとも根性で治して、またすぐに山に行ったのかなぁ。

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    返信
    1. hidezaurusuさん
      バーチャルトレッキング楽しんでいただけて嬉しいです^^
      いつも読んで下さってありがとうございます〜!
      尾てい骨は、下山したあとも“病院にいっても処置できる訳じゃないし...”と結局なにもせず、歩く分には痛みはないので1週間後から再びアルプスに出かけています。笑
      ご心配おかけしました!
      ねずみのシッポの骨はとっても元気です^^

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