2015年11月15日日曜日

2015年7月28~31.8/1 裏銀座縦走+雲ノ平.高天原4泊5日(4日目前編)【北アルプス】

4日目の前編です。

am4:30

窓の外を眺めると、太陽がゆっくりと朝の準備。
山の朝はとっても早いから、小屋の外ではすでに出発した人達の足音が聞こえる。

お布団にくるまりながら隣を見ると既にKさんは出発していました。
“いってらっしゃい、楽しい山旅を”って心の中でKさんに呟く。

昨日はぬくぬくの布団を広々と使えて、ぐっすり眠れたからか朝から体が軽い。
ひんやりとした山の空気をスーっといっぱい吸い込んで、腕や足をぐぐーっとのばしてストレッチ。
よし!4日目の山旅をはじめるとしますか!!

双六小屋を出発して、すぐに登りがはじまる。
まだ目覚めていない体にはキツいけど、起きてすぐに体を動かすのはとっても気持ちいいね。
少し登って振り返ると、まるっとした双六岳の山肌がちょっぴりピンクに染まってた。

昨日とは打って変わって、4日目の太陽はご機嫌らしい。

まんまる太陽、おはよー!
やっぱり顔を出す瞬間の太陽はエネルギッシュで眩しく燃えてる。

鷲羽岳もおはよう〜!!

ちょっと大きめのヤマナメクジ先輩も、おはよ〜!

笠ヶ岳もおはよ〜!
空の海に浮かぶ、大きな島みたいだなぁ。

あたたかな光が山肌をほんのりと桃色に染める。

縦沢岳から日の出を見終えたみんなが小屋に戻って行く。
きっとこれから食べる美味しい朝食に心がホクホクしているに違いないね。

双六岳から、鷲羽岳と水晶岳、野口五郎方面をぐるっと。

am5:30
小屋を出て、じわじわと登ると縦沢岳。
体もぽかぽかウォーミングアップ完了!

これから目指す槍ヶ岳のシルエット。

これから向かう槍ヶ岳に両手を広げてごあいさつ!
手前の台形に見えるピークから、小刻みなアップダウンを繰り返し登って行く西鎌尾根。
序盤は比較的なだらかなハイマツ帯を歩き、徐々に岩稜帯に変わっていく道。
槍ヶ岳は足元から忍び寄る。

穏やかにはじまる山の朝にうっとりしながら、歩いて行く。
優しい光のベールの向こう側にはやく行きたい。
わくわくとはやる気持ちを落ち着かせるように深くふかーく深呼吸。

槍ヶ岳から続く穂高の峰々。
こっち側から見るのってなんだか新鮮だなぁ。

朝露のシャワーを浴びたウスユキソウ。
青白く静かに咲き誇る姿は、凛として美しい。
本当に美人で見惚れてしまった。

まだまだ遠くに見える槍ヶ岳、見てるだけだとどうやってあそこまで行くんだろうと思う。
時間的には数時間で着いちゃうのが不思議だなぁ。

早朝からセカセカブンブンと花の蜜を集める蜂たち。
ごくろうさまです!

ヤマナメクジ先輩がここにも!
朝から元気ですなぁ!

景色に目を向けると、まだ朝の空気の中にいる山たち。
1番向こうに乗鞍岳。
その手前にこんもりまるっと大好きな焼岳。

焼岳はわたしの北アルプスデビューの山2013年9月/北アルプスデビュー編、その翌年に再訪した時には大好きな仲間たちと出会えた大切な場所2014年8月31日/リハビリハイク編
山のひとつひとつにそれぞれの思い出があるけど、焼岳は特に思い入れが強いなぁ。

近すぎる笠ヶ岳。
遠くから見てもその山容は美麗でかっこいいなぁと思っていたけれど、近くで見るとより秀麗。
秋の笠ヶ岳の山肌が彩り豊かでとても印象的だったので、ここには秋に訪ねたい。
なぜかこの山を見るとおにぎりが頭をかすめるから、おにぎりを持って。笑

周りの景色もさることながら、目の前の景色も圧巻のひとこと。
まだ眩しくて直視できない槍ヶ岳が神々しいよ。
槍穂高が光を遮光してできた光のカーテンが神秘的すぎて、涙が出そう。

山をはじめるまでこんな世界が、景色があるなんて考えた事がなかった。
写真で見る“自然のすごい景色”の場所を自分が歩けるなんて想像もできなかった。

立ち止まって深呼吸。
足元には可愛らしく、ちっこいちっこいツツジが集まったような可憐なお花。

振り返って、赤い山肌が目立つ硫黄尾根。
この尾根の先に楽しい楽しい湯俣温泉があります。
旅の1日目の野口五郎小屋に先週泊まったリン兄さんとタチ子ちゃんは、野口五郎岳から竹村新道で下りたんだよね。
わたしも河原の温泉掘り起こしたい、噴湯丘で野湯はいりたい!
山のワイルドな温泉、大好きです。
お風呂が恋しい......そんな4日目。

段々と細く、ガレてくる登山道。
いままでは比較的歩きやすかった裏銀座の道とは変わって、槍穂高らしいガレのスリリング要素がちょっぴり加わってくる。

前を歩いている赤いザックはマモルさん。
途中でお話をしたのをきっかけに、ここからご一緒することに。
70歳とは思えないエネルギーとパワー、ものすごい健脚で歩くスピードが速い速い〜♪
若い頃は山とクライミングに明け暮れていたそうで、マモルさんのお話は耳を疑う事ばかり!
そりゃこれだけ健脚なわけだ。
ずーっと2人でおしゃべりがとまらないにも関わらず、息ひとつ乱れない。

トラバースを終えると少し開けたピークに出る。
そしてまた下って登って、小刻みなアップダウンの繰り返し。
ピークに出るたびに絶景が広がっているからもうたまらんです。

槍ヶ岳に近付くほどに傾斜は増してくる。
手をしっかり使って、全身で岩場を登っていく。

時々鎖が出てくるけれど、足場もホールドもたくさんあるから使わなくても大丈夫。
だけど向こうから人がくる時は、とっても道が狭いから待つ場所に注意です!

休憩を取るたびに、振り返る。
どこからどう見たって何度振り返ったって、いい眺め。
さっきまでいた山、数日前にいた山、その距離がどんどんと離れて行くのがとってもさみしい。
ここまで歩いてこれた事が嬉しいけど、もうここまで来ちゃったか.....って思ってしまう。

でも前を見れば、まだ歩いた事のない魅力的な山と道が待ってる。
だから進まずにはいられないんだなぁ。
山を歩いている時はいつだって次の目標が待ってる。

槍ヶ岳は近くなればなるほど、トンガリが柔らかくなっていくんだね。
いつも見ていた上高地側からは見えない小槍も、こっち側からだとよく見えるやぁ。

am8:20 千丈乗越

ここまでくれば槍ヶ岳まではあとひとのぼり!
って言っても、ここから槍ヶ岳山荘まで一気に500mほど標高を上げます。
標高グラフで見ると面白いくらいにぎゅーんとグラフ上昇、そのグラフがもう槍ヶ岳。

西鎌尾根の灰の山肌、硫黄尾根の赤い山肌。
そのうしろには競う気のないのんびりとした裏銀座の山たちが並んでる。

左奥に乗鞍岳と手前に焼岳、雲のかかる笠ヶ岳、双六岳と鷲羽岳に野口五郎岳。

千丈乗越から先はザレの急斜面をじぐざぐと。
太陽が槍ヶ岳の真上で輝いて、まぶしい。

イワギキョウとうしろに北鎌尾根。

マモルさんも若い頃に北鎌尾根を歩いたそう。
そのころのお話をするマモルさんの目はキラキラと悪戯っぽく輝いていてとても素敵でした。
わたしもいつまでも好奇心や冒険心に溢れた人でいたいなぁ。

さぁ、もうすぐそこだ!
ゴロゴロガラガラとした岩の転がる斜面を、さくさくと登って行く。

まだ今日の宿泊地を決めていなかったわたしはマモルさんに、
『今日はどこに泊まるんですか?』と聞く。

「南岳小屋までいくよ。あそこはね、予約しておくと布団をひとり1枚ちゃんと確保してくれるの。」
ちゅーちゃんも、泊まるところを決めてないなら南岳小屋に電話したらいいじゃない。まだ時間も早いし槍から南岳小屋までは3〜4時間あればついちゃうんだから。」
と言う。

そっか。
せっかくこんなにも天気がいいんだし、槍ヶ岳周辺に泊まって時間を持て余すこともないんだ。
ゆっくりするのも魅力的だけど、槍穂高の縦走路をちょびっとでも歩けるのはもっともっと魅力的!
しかも南岳まで行ったら憧れの大キレットが目の前だ!!

さっきまで殺生ヒュッテ(名前がかっこいいから)もしくはヒュッテ大槍(ごはんめちゃうま)に泊まろうかなぁとぼんやりと思っていたけれど、全然頭になかった南岳まで足をのばすことに決めました。
槍ヶ岳山荘についたら早速予約の電話しよっと!

ザレの斜面を登りきると、そこには槍と小槍の頭がすぐそこに。
近すぎると槍ヶ岳は槍ヶ岳らしくない。笑

アルプス一万尺の歌詞の1番、“アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りをさぁ躍りましょ”の小槍はこのこと。
マモルさんにアルペン踊りってどんな踊り?って聞いたら、「手をつないで飛び跳ねるくらいだよ。」って言っていました。笑

この歌は29番まであるんだけど、前半は山の素晴らしさを歌っているのに、徐々に恋の実らないひとりさみしい山男の歌へ、そして吹っ切れたのかロマン溢れる岳男に変貌する様が描かれた大作です。笑

6番 一万尺に テントを張れば 星のランプに手が届く
11番 山のこだまは 帰ってくるけど 僕のラブレター返ってこない
17番 剣のテラスに ハンマーふれば ハーケン歌うよ青空に

歌詞を見てみると情景が想像できて面白いです。

アルプスの歌じゃないけど、高く可愛らしい声で歌っているのは、しきりに子供たちを呼ぶイワヒバリのお母さん。

am9:40 槍ヶ岳山荘

ここにザックをデポして、サブザックにおやつとシェルだけいれて槍ヶ岳へと向かいます。
おっと、その前に南岳小屋に予約の電話をしとかなきゃ。
auの電波はなかったので山荘内の衛生公衆電話(初回300円/45秒、その後200円/43秒!)から。
『今槍ヶ岳山荘で、これから山頂に行ってから向かうので、多分あと3〜4時間でそちらに着きます〜。』と、話しながら、なんだか変な会話だなぁと笑ってしまいました。笑

山荘から槍ヶ岳の山頂までは約30分ほど。
その全てが岩登りなので、アクティブでとっても楽しいです!

基本的に左側が登り専用、右が下り専用とルートや梯子が別れているのは渋滞回避のため。
時々小石がころころと落ちてくるので、特に渋滞時はヘルメットをかぶったほうが良さそうです。
ヘルメットを持っていない人は槍ヶ岳山荘でレンタルもできますよ。



小さくなっていく槍ヶ岳山荘。

上を見上げれば、雲ひとつない青空に山頂への梯子がかかってる。

梯子は登り2段、下り2段でどちらも垂直。

しっかりと安定した梯子をぎゅっと掴んで、カンカンと小気味よく登っていく。
一段一段上がるたびに、にやにやと頬がゆるゆる緩む!
登りきった先にどんな景色が待っているんだろうかって胸が高鳴る〜!

まず、迎えてくれたのは山頂にいるみんなの笑顔と「おめでと〜!」の声。
登ってくる人ひとりひとりがおめでとうの言葉と拍手で迎えられる。
これはきっと槍ヶ岳ならではなんだろうなぁ。

ありがとうございます、へへへ。』
っとニマニマゆるゆるした顔でお礼を述べつつ、目に飛び込んで来たのは今まで4日間かけて巡ってきた裏銀座の山たちと、どこまでも脈々と続いて行く北アルプス。
その中でも1番最初に見つけたのは、野口五郎岳でした。
『無事に槍ヶ岳までついたよ〜!』って五郎小屋のみんなに手を振ったけれど、届いたかなぁ。笑

am10:15

北アルプスのランドマーク、槍ヶ岳のてっぺんにきたよー!

そしてここが、この旅で目指していたゴールピーク。
これで裏銀座縦走路で辿って行く山全てに出会えたってことだね。
まさかこんなポンコツなわたしが槍ヶ岳に登る日がくるなんてなぁ...
裏銀座縦走路をヨリミチしながらえんやこら数日かけて、ここに辿り付いたことがとっても嬉しくてちょっぴり誇らしい。

槍ヶ岳/3180m
北アルプスの目印的存在の槍ヶ岳。
百名山・新日本百名山・花の百名山の三冠に輝く。
標高で言えば日本で5番目の山だけど、認知度は2番目の北岳よりも上をいっているでしょう。
1番目が富士山なのはいわずもがな。
そして登山者からの圧倒的人気を誇る、まさにスーパースターマウンテン!

ヤギ太郎も誇らしげ。
おめでとおめでと、ヤギ太郎〜!!

穂高方面は恐竜の背中のようにゴツゴツとかっこいい。
これから向かう南岳小屋まではここから見える3つのピークを越えて行く。
手前から大喰岳・中岳・南岳、南岳をちょっと下ったところに小屋があります。

槍ヶ岳から延びるこのトレイルは、槍穂高縦走路。
槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳、北穂高、奥穂高、前穂高、険しい岩稜帯の北アルプスの核心部。
優しく広く穏やかだった裏銀座縦走路の雰囲気とまるで違う、モノトーンの道。
その色が険しさをより際立たせてる。

槍ヶ岳から見える裏銀座の山々の景色をぐるっと!

山頂はこんな感じで狭いので、のんびりしていると登ってくる人であっという間にあふれちゃう!
登った時は5人ほどしかいなかったけど、記念撮影をしている間に続々と。

もう少しここに留まっていたかったけど、わくわくと登頂を待ちわびている人がたくさんいるから下りなくちゃね。
楽しみや感動はみんなで分け合って共有して、じゅんばんこ!

下りるときはこんな感じ。
ストンと垂直にかかる梯子なので、ヒョってなる。笑
わたしは高所ってあんまり怖くないんだけど、高所恐怖症な人にはこれは辛いんだろうなぁ...

梯子に足をかけて山頂から下りる時、『槍ヶ岳さようなら〜!』って手を振ったら、山頂にいる人みんなが「またきてね〜!!」って手を振りかえしてくれた。笑

あっという間に山頂から離れてく。

登って行く人とすれ違うたびに、登ってる人が羨ましくなっちゃう自分がいました。笑
あとで写真を見返してみると、下り時の山頂振り返り写真が多い多い。
槍ヶ岳に憧れてたわけじゃないんだけど、やっぱり裏銀座縦走路のゴールピークなだけあって嬉しかったんだねぇ〜

槍ヶ岳山荘に戻ってきて、外のテーブルベンチでお昼ごはん。
バーをひとつもぐもぐと食べるだけだけど。笑
マモルさんがデザートに食べさせてくれた水ようかん、甘くておいしくてパワーみなぎる!
ごちそうさまでした^^

槍ヶ岳山荘前からは当然のごとく槍ヶ岳が目の前なわけで。
コーヒーをのんびりと飲みながら山頂観察。

ズーム。
どんどん渋滞が長くなるよ〜

昼過ぎは横尾からのハイカーさんがちょうど槍ヶ岳に到着する頃みたいだね。
渋滞に巻き込まれなくてよかったぁぁ。
今回登り20分、下り25分で行って返ってこれたのは奇跡的に空いていてラッキータイムだったんだね。
平日といえど、槍ヶ岳は人がいっぱいで本当に大人気なんだなーってしみじみ思う。

am11:35

名残惜しいけど晴天の槍ヶ岳とはここでお別れ。
ずっと遠くから見ていたこのてっぺんに、さっきまで自分がいれたことがもう既に嘘みたいな気分。
もったいないから、もう1回行っとこうかなと本気で思ったよ。笑

日本の代表的な山って富士山だけど、登山者には圧倒的人気の槍ヶ岳。
晴れの日に登らせてくれてありがとう。

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4日目の前編はここまで。
次は後編の槍ヶ岳〜大喰岳〜中岳〜南岳、南岳小屋までのおはなしをお送りします。
(更新がんばります....)

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○コースタイム
双六小屋(4:30)---縦沢岳(5:20〜5:40)---硫黄乗越(6:10)---千丈乗越(8:25〜8:35)---槍ヶ岳山荘(9:40〜9:55)---槍ヶ岳(10:15〜10:35)---槍ヶ岳山荘(11:00〜11:35)
※休憩など含め、計7時間5分

○アクセス
行き/七倉ダム・七倉山荘前(駐車場あり)
※毎日アルペン号で深夜発、朝着可。7月末は片道7200円でした。
※七倉からタクシーで高瀬ダムまで20分/約2200円
※ゲートが開くのは5:30または6:30(シーズンにより変わります)

帰り/上高地から高速バスにて新宿
※さわやか信州号が事前予約できれば新宿まで直通で帰れます。6200円。

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